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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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最悪の事態

ベルリンを訪れる二ヵ月前,マクドナルドは,巨大銀行ゴールドマン・サックスのヘンリー・ゴールドマンに会っていた。ゴールドマンもやはり,近いうちにベルリンに行く予定だということだった。マクドナルドは彼に,ドイツ新政府の苛烈な反ユダヤ主義は,ドイツの人々がどこかおかしくなっている兆候ではないかと言った。ゴールドマン・サックスを創設したドイツ系ユダヤ人移民の息子であるゴールドマンは,マクドナルドの質問を鼻であしらい,「そんなことはありません。ドイツの反ユダヤ主義など,アメリカの反ユダヤ主義と似たり寄ったりですよ」と言い切った。マクドナルドは以前からゴールドマンのことを「ドイツの擁護者」だと考えていた。しかし4月8日,ベルリンのアドロン・ホテルでふたたび顔を合わせたとき,マクドナルドはゴールドマンの変わりはてた様子に目を見張った。「彼はまるで,憔悴しきった老人のようだった」
 この国でさまざまなことを見聞きした結果,ゴールドマンは,ドイツに対する自分の見解を大きく変えていた。「ミスター・マクドナルド,15世紀や16世紀に起こった最悪の事態が,この20世紀に,しかもドイツ全土で復活しようとは,思ってもみませんでした」。マクドナルドがベルリンにはどのくらい滞在するのかと聞くと,彼は答えた。「耐えられなくなるまでです」

アンドリュー・ナゴルスキ 北村京子(訳) (2014). ヒトラーランド:ナチの台頭を目撃した人々 作品社 pp.171
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