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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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都合の良い理解

 日本の戦後教育は何かと批判されてきた。大学入試に備えて,中学,高校までは教科書を詰め込み型授業で教える。記憶力重視型で想像力を育ませることはできない。金太郎飴のような優等生ばかり。そして田中,天野,山中の3人は,わたしとほぼ同世代である。1979年に導入される共通一次試験を前に暗記型と批判された。ついでに言えば,無責任,無関心,無気力とボロクソ言われた世代である。


 だが,1950年代後半生まれの研究者がしっかり成果を出してしまった。こうなると形成は逆転してしまう。戦後の詰め込み教育が,神童を伸ばして,頭のよさを醸成させ,ノーベル賞クラスのすぐれた発見ができる基礎となったという肯定的な見方が成り立った。


 これには,ゆとり教育からの揺り戻し,学力低下への政策的対応という,大きな「援軍」があったことも大きい。


 神童は,国の教育政策によって,都合良く理解されるものだ。



小林哲夫 (2017). 神童は大人になってどうなったのか 太田出版 pp. 83-84


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