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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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不採用理由が不明=自己否定

 日本の就職活動では。「何が採用の基準になっているのか」がはっきりしないため,不採用とされた学生はひたすら自分の内面を否定し続けることを求められます。象徴的な言葉が「自己分析」で,生まれた時からこれまでの態度,自分がどういう人間であるのか,こうした抽象的な次元で自分自身を否定し,企業にどうしたら受け入れてもらえるのか考え続けさせる,ある種の精神的な試行錯誤,自己変革が求められるというのです。


 ジョブ型社会であれば,具体的な職業能力がないために不採用になったのであれば,それを改善するために職業訓練を受けるという建設的な対応が可能ですが,メンバーシップ型社会的な全人格的評価で自己否定することを求められるということは,「自分が悪い」という一種のマインド・コントロールに若者を陥らせていくということでしかありません。こうして不採用の理由がわからないまま「自己分析」を繰り返させる「人間力」就活が,ブラック企業を生みだしはびこらせる土壌になっているという今野氏の指摘は鋭いものがあります。



濱口桂一郎 (2013). 若者と労働―「入社」の仕組みから解きほぐす 中央公論新社 pp. 234


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