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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   
カテゴリー「社会一般」の記事一覧

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なぜ?なぜ?

 ほかにも疑問は数えきれないほどあり,それらはより深いプロセスが進行していることを示している。なぜ何千キロも離れた別の大陸に住む3人の人間に,同じ遺伝子の突然変異が見られるのか。アラビアの砂漠から生まれたイスラム教が世界中で10億人もの信者を獲得できたのは,どういう理由によるのか。ヨーロッパ人はどのようにしてバイオリンを,モンゴルの馬の毛でできた弓の弦で弾くことを覚えたのか。現代の情報の世界を動かしているアルゴリズムという算法は9世紀のアラブの数学者の名前のアル・フワリズミに由来するが,どんな経緯でこの数学者の名前がつけられることになったのか。中国産の蚕は,どのようにしてイタリアの絹産業の発展に役立ったのか。もともと東地中海世界で行われていた奴隷によるサトウキビ栽培は,どのようにしてカリブ海に移っていったのか。クリストファー・コロンブスが新世界で唐辛子を発見するまでは,朝鮮にはキムチは存在しなかった。それはなぜなのか。アメリカの通貨の名称にドイツの銀鉱山の町の名前がつけられたのはなぜか。カリフォルニアで最初にワインを作り出した葡萄の木が「伝道師の葡萄」と呼ばれたのはなぜか。中国の製紙技術はどのようにして西洋に伝わり,あなた方が今読んでいるたくさんの本を生み出したのか。疑問,質問はさまざまあって,しかも数えあげればきりがない。そしていずれもその起源を辿ると,世界的な結びつきという包括的な現象に行き着く。

ナヤン・チャンダ 友田錫・滝上広水(訳) (2009). グローバリゼーション:人類5万年のドラマ(上) NTT出版 pp.7-8
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事実はどこに

 事実を確認したかった僕は,疑いを抱いた多くの人と同じことを思いつく。情報の専門機関,ヴァージニア州ラングレーにあるCIA本部に聞いてみよう。CIA広報部のマリーは,ケネス・A・クレス博士が執筆した内部資料(僕がすでに目を通したあれだ)の存在を指摘した後,マクモニーグルは米軍から勲功賞を授与されているのだから群に話を聞くべきだと言う。
 世界最高の情報機関に見放された僕は軍にあたってみることにする。国防総省のウェイン・V・ホール広報官にメールを送り,マクモニーグルの勲功賞の感状について問い合わせをする。
 回答はこうだった。「お答えできるのは以下の点のみです。ジョゼフ・W・マクモニーグル二級准尉は20年間の勤務の後,1984年8月31日に退役しております。当該者の主張に関して言えば,極めて一般的な事態ですが,当人の記録に感状の写しは存在しません」
 でも,僕はこの目で感状の内容を読んだ。どこで読んだのかも言える。マクモニーグルの自伝の中だ。勲功賞という大変な栄誉を,当の米軍に知らせずに超能力スパイに与えるなんておかしくないか。

ウィリアム・リトル 服部真琴(訳) (2010). サイキック・ツーリスト:霊能者・超能力者・占い師のみなさん,未来が見えるって本当ですか? 阪急コミュニケーションズ pp.308-309

ちゃんと調べよう

 トンプスンとライリーはイギリスの各地の警察の捜査活動を徹底的に調査し,1980年代に起きたサラ・ジェイン・ハーバー殺害事件の際,霊能者から寄せられた手紙600通に記載された情報が捜査にどれほど役立ったかを詳細に検討した。その結果,2人はサイキックが関わることで捜査活動は「資源浪費の危機に瀕する」との結論を下した。警察は情報を寄せた霊能者の話を聞くのに貴重な時間を割き,無駄な捜査を行い,おかげでより有力な線を追うための人員が手薄になる。霊能者の事情聴取と霊能者から得た情報の確認に10時間も費やしたあげく,「事件の状況と一致する情報をほとんど得られなかった」ケースもあったという。

ウィリアム・リトル 服部真琴(訳) (2010). サイキック・ツーリスト:霊能者・超能力者・占い師のみなさん,未来が見えるって本当ですか? 阪急コミュニケーションズ pp.167

機能の副産物

 それにしても『ファイナルファンタジーXI』で,痴話げんかが多いというのは,何が原因だったのだろうか。
 初期の頃から,ネットゲームに詳しい人の話である。
 「米国製のネットゲームは,ゲーム内で友だちが,今どのへんで何をしているかが,わからない。ところが日本のゲームは検索機能が付いていて,ゲーム内のどこにいても,誰と一緒にいるかが発見できる。『ファイナルファンタジーXI』では特に,どのエリアで,どのレベルで誰が何をしているか全部わかるようにできている。推測ですが,ゲームクリエーターは親切心で,友人がどこで遊んでいるかわかるような機能を作ったのでしょう。ところが,実際の使われ方は,そうじゃない。相手がどこで何をしているのかを監視するために使われていた」
 ユーザーに,ネット恋愛中のカップルやリアルの恋人同士,現実の主婦,恋愛目的にゲームに参加するファンが多かったせいで,よくこんなチャットが飛び交っていたという。
 「俺の彼女に,手を出すな」
 「私が仲良くしているAさんと一緒にいるなんて許せない」
 「おまえ,他の男と何している!早く帰って来い」
 キャラクターはゲームの中で動き回っている。だが,キャラクターを操作しているのは,所詮,生身の人間同士だ。ネット恋愛だけでは飽き足らず,リアルで不倫に走るケースも稀ではなかった。

芦崎 治 (2009). ネトゲ廃人 リーダーズノート pp.142-143

違いがあるから面白い

 人には違いがあるから面白い。明らかに自分には「どうかしている」ように見える髪型やファッションをしている人にあっても恐れることはない。相手の「かっこいいこと」を聞いて,その異文化を感じてみればいい。
 けっして,「こいつバカか?」とか「俺よりセンス下だな」などという排除や評価をしてはいけない。
 そんなときは,森で知らない動物に出会ったような気持ちで純粋に受け止めればいいと思う。キリンに「何だその首は!おかしいだろ!」とか,鳥に「なんで飛ぶんかねー?」と突っ込んでも彼らは困るだけだろう。
 「こういう人も(動物も)いるんだ……」と素直に感じよう。

山田玲司 (2009). キラークエスチョン:会話は「何を聞くか」で決まる 光文社 pp.74-75

知らないから見下せる

 今の日本には人を見下している人が大勢いるけど,おそらくは相手のことを何も知らないで見下しているのだろう。
 深く相手を知れば,必ず馬鹿にはできない「何か」があるはずなのだ。
 やたらと人を見下すことは,その人に想像力がなくて経験不足だということの証明になってしまう。人を見下すことはみっともないことだと自覚してほしい。
 まずは相手に対する本心のリスペクトが第一だ。最低でも一定以上の敬意がなくてはいけない。それがあってのキラークエスチョンなら効果は絶大だろう。
 人は「心のない言葉(質問)」には想像以上に敏感なのだ。

山田玲司 (2009). キラークエスチョン:会話は「何を聞くか」で決まる 光文社 pp.65-66

距離をおく権利

 自由な社会では,攻撃することは許されないが,嫌悪を感じる者とのあいだに距離をとる権利(あるいは生々しいつきあいを拒絶する権利)が保障される。自分にとって醜悪な者が大手を振って生きているのを見ることに耐えなければならないだけで,自分がそのスタイルに巻き込まれる必要はない。この安全保障が,人間社会にたえず自然発生し続ける憎悪と迫害の力を弱め,人が誇りを持ってそれぞれの生を美しく生きるためになくてはならないものであると同時に,多種多様な相容れない生のスタイルを生きる人々が,「仲良く」しなくても共存できるようにする社会の秩序原理でもある。「存在を許す」自由の秩序は,「仲良く」しなくても安心して暮らせるしくみなのだ。

内藤朝雄 (2009). いじめの構造:なぜ人が怪物になるのか 講談社 pp.213-214

自由な社会が都合が悪い人々

 その意味で自由な社会は,次のようなタイプの人には都合が悪い社会だ。たとえば,自分を中心とした勢力の場に他人を巻き込んだりコントロールしたりして,強大なパワーを感じたい人がいるとしよう。こういう権勢欲の人たちは,自分が苦労して牛耳った集団のノリのなかで浮き上がったまま堂々としている個人をみると攻撃せずにはいられない。
 あるいは,人間はかくあるべきだという共通善に関する思い込みを持っていて,その信念に反する人々が存在するのを眼にすること自体が耐えがたいという人がいる。こういう人は,若い人が茶髪で学校や街を歩いていたり,電車のなかでキスしていたり,働かずに好きなことをしていたりするのを見かけるだけで,被害感と憎悪でいっぱいになる。こういう人たちには不快な思いをしてもらうことになる。

内藤朝雄 (2009). いじめの構造:なぜ人が怪物になるのか 講談社 pp.211-212

晴れ男・雨男

 自分を「晴れ男」「晴れ女」であると思っているグループと「雨男」「雨女」であると思っているグループでは,性格が分かれるような気がする。前者は「晴れていて楽しかった思い出」が強く記憶に残り,後者は「雨が降って残念な思い」を記憶し続けるタイプなのではないか。つまりは,性格がポジティブかネガティブか,ということに起因する問題かもしれない。

松尾貴史 (2009). なぜ宇宙人は地球に来ない?—笑う超常現象入門— PHP研究所 pp.99

能力とは

 「だからといって,すべての念写がイカサマだという証拠はないではないか」という常套句がビリーバーから聞こえてきそうだが,可能性を否定するために否定しているわけではない。何度も何度もイカサマが暴かれたものを信じろというほうが無理ではないか。ならばなぜ,拉致被害者等,行方不明になっている人の様子や場所を,その家族のために「念写」してやらないのか。政治家や官僚の不正,癒着,背任行為の現場を,世田谷一家惨殺等の迷宮入り事件の犯人を,徳川や武田の埋蔵金の場所を「念写」しないのか。「超能力者」を名乗るのなら,社会の役に立つことをしなさい。ゲームのように隠した文字や,歪んだビルの写真や,首がブレて透けている漫画家の写真等,何の役にも立たないではないか。役に立ってこそ,「能力」ではないのか。

松尾貴史 (2009). なぜ宇宙人は地球に来ない?—笑う超常現象入門— PHP研究所 pp.63-64

それは本当に会社の権限か

 配置転換,懲戒といった権限は会社の権限というが,よく考えてみてほしい。なぜ,使用者にはこのような権限があるのか。労働者と使用者というのは,労働契約の当事者としては対等である。懲戒というのは罰を与えることだ。契約の一方当事者である使用者が,対等の相手方当事者である労働者に対して,なぜ罰を与えることができるのか?
 この疑問に対する労働法学の回答は「契約」である。つまり,労働者が,自分の一鼎の非違行為に対しては,異聞に×が下されても仕方がないということに同意しているからできる,という理屈である。
 これによれば,使用者に懲戒権があるのは,労働者が同意を与えることによるのだ。ということは,労働者の集合体である労働組合が,懲戒に同意権があるとすることは,それほどおかしな話ではないし,使用者にもともと存在する権限を奪うものではない。
 配置転換についてもまったく同じことがいえる。
 このように,使用者に人事権があるのは,労働者の同意があるからなのだ。組合が口を挟むべきことではない,では説明になっていないのだ。

笹山尚人 (2008). 人が壊れてゆく職場:自分を守るために何が必要か 光文社 pp.186

派遣先のユーザー感覚

 労働者派遣の事例を扱っていてよく感じるのは,派遣先の「ユーザー感覚」である。つまり,派遣先は,人間を受け入れて仕事をしてもらっているというのではなく,商品や機械を納入してもらってニーズを満たしている,という感覚を持つのである。この感覚は,派遣労働者が自らの思い通りにならないとき「不良品」「バグ」(瑕疵)といった感覚を持つことにつながる。だから「不良品」や「バグ」をなんとかしろ,と派遣元に文句を言うようになる。それは,不良品を与えられたときに正常な商品との交換を求めるように,思い通りになる派遣社員を派遣し直せという要求になっていく。思い通りにならない派遣社員を人間扱いしないのである。

笹山尚人 (2008). 人が壊れてゆく職場:自分を守るために何が必要か 光文社 pp.154

年俸制の誤解

 年俸制については広く誤解されているので注意が必要だ。世間では,年俸制とは1年単位で出される賃金が固定してしまう制度だ,という誤解がまかり通っている。年俸制というと,プロ野球などプロスポーツの選手を思い浮かべるせいであろうか。
 しかし,年俸制は基本となる賃金を1年単位で決定するという合意にすぎない。多くの場合,月給いくらと約束するところを,年でいくらと約束するだけのことである。月給いくらと約束すれば,残業代はその範囲外のことであるから出る扱いになるのとまったく同じで,,年でいくらと契約しても,残業代はその約束の範囲外のことになる。したがって,年俸制であるということと,残業代が支給されるということは両立する関係にある。一方があるからといって,他方が存在しないということにはならない。

笹山尚人 (2008). 人が壊れてゆく職場:自分を守るために何が必要か 光文社 pp.23

被害者が出にくい詐欺

 学位商法は,オレオレ詐欺など他の悪徳商法と違って,被害者が出にくい詐欺である。まずは,被害者が学位を取得し受益者になるので,騙されていることに気づかない。どこか変だと思っても,「日本とアメリカは違う」,「アメリカの大学ではそうなっている」,「アメリカでは通じる」,と言われ,そう信じてしまう。たとえ,黙されたことに気づいても,自分の学歴が偽物であることが周囲にわかってしまうので,人には言えないので沈黙し続けるしかない。

小島 茂 (2007). 学歴汚染:日本型学位商法の衝撃 展望社 pp.195-196

日本の農業生産量は増加している

 まず,日本の農産物総生産量は着実に増えている。1960年の4700万トンから,2005年には5000万トンへと300万トンの増産を実現しているのだ。ちなみにカロリーベースの自給率のほうは,1960年には79パーセントであったが,2005年には40パーセントに半減。多くの人は自給率半減と聞いて,生産量が半減したと勘違いしているはず。だが,実際は増産している。
 それぞれの品目で見ても,生産量が世界トップレベルのものが少なくない。ネギの世界一を筆頭に,ホウレンソウは3位,ミカン類は4位,キャベツは5位,イチゴ,キュウリは6位などと,世界のトップテン入りを果たしている農産物も多い。意外に思われるかもしれないが,キウイフルーツも世界6位であり,米国の生産量を上回っている。
 生産能力の4割を減反しているコメは10位だが,減反開始前の1960年代には3位だった。また果物の王様リンゴが14位,欧米のメジャー作物ジャガイモでさえ22位と健闘している。
 これだけの生産量を誇っている理由としては,日本が世界10位の人口大国だということもある。また,食文化の違いもある。さらに,下がったとはいえ国民所得も高い。昔は生きていくために,コメやイモ類などカロリーの高いものを大量に消費していたが,現在がイチゴやキウイフルーツをデザートとして,楽しむようになった。このように多様な果物や野菜を食べる食文化が根付いたことも背景にある。
 しかし,果物や野菜は総じてカロリーが低いため,どれだけ国産が増えてもなかなか自給率向上にはつながらない。それならば自給率などという曖昧な指標より,国内生産量のほうが国民にも農家にも圧倒的に重要ではないか。「日本の農家は食糧の増産に成功している」というシンプルな事実だけでも,食糧危機に対する漠然とした不安は払拭され,頼もしい産業であると農家への認識が改められるだろう。

浅川芳裕 (2010). 日本は世界5位の農業大国:大嘘だらけの食料自給率 講談社 pp.114-116

世界中で耕作地は減少している

 日本農業の問題点の1つとして,「農家数が減り,耕作放棄地が増えているから日本農業はこれから衰退する」という主張が,正論のようにまかり通っている点がある。確かに全国の耕作放棄地は,合計すると埼玉県の面積に匹敵するほどの規模にまで膨れ上がっている。
 しかし,放棄された農地はそもそも需要のない農地であり,実は放棄されたところで何ら問題はない。土地の条件が悪く無理して作付けしても儲からない。また農業以外の産業に従事するようになったという合理的な理由で,所有者が耕作をやめただけである。
 この現象は世界中で起こっている。過去10年間で日本の農地は70万ヘクタール減少したが,フランスでも54万ヘクタール,イタリアでは146万ヘクタール,米国に至っては373万ヘクタールも減少。それでも各国の生産量が増えているのは,生産技術が向上し,同じ面積で何倍もの収穫が得られるようになったためである。
 むしろ,耕作放棄地の増加にはメリットがある。成長農場が需要増に対応して,耕作放棄地を安く借りられる,また買える機会が増えるからだ。農場の収益も国の税収も地域の雇用も増える。まさに宝の山である。だから,耕作放棄地の増加は放っておけばいい。赤字の擬似農家を保護し放棄地を減らそうという政策は,税金の無駄使いでしかない。

浅川芳裕 (2010). 日本は世界5位の農業大国:大嘘だらけの食料自給率 講談社 pp.84-85

日本は世界一の輸入国ではない

 日本の農業を語るとき,「零細な家族経営」であり,「高齢化が進み後継者がいない」「生産量が減っているから輸入せざるを得ない」,だから「衰退産業だ」という認識から出発している論調が多い。農水省や政治家が一様に自給率向上を叫ぶ根拠としても,「日本は世界最大の食料輸入国」であり,「海外に食料の大半を依存している」という前提がある。日本は世界でもっとも食料を買いあさっている国というわけだが,実はその認識からして誤っている。
 数字を見れば一目瞭然だ。日本,米国,英国,ドイツ,フランス5カ国の農産物輸入額(2007年)を比べると,1位が米国の747億ドル,2位がドイツの703億ドル,次いで英国535億ドル,日本460億ドル,フランス445億ドルという順になる。
 日本は世界最大の食料輸入国ではないのだ!


浅川芳裕 (2010). 日本は世界5位の農業大国:大嘘だらけの食料自給率 講談社 p.20

幸福感と貧困

 世界的に見て,人間の幸せの最大の障害といえば,何よりも貧困である。幸福度調査の結果を信じるかぎり,幸福な国はたいてい金持ちである。たとえば,世界178か国中,アメリカは23位,イギリスは41位だが,インドは128位と下位に沈んでいる。最近に国ごとの調査が行われた結果では,金持ちのほうが幸福である傾向にあって,アメリカで「非常に幸福である」と回答したのは,年収25万ドル以上の世帯では約90パーセントだったが,年収3万ドル未満の世帯ではたったの42パーセントだった。ニューヨーク・タイムズ紙が2009年にニューヨーク市民を対象に調査したところ,幸福だと回答する人が多かったのは市内でも指折りの豊かな地区で,偶然ではないが,カフェ,市民センター,劇場など,人と交流できる場所が充実していた。それほど幸福ではない人が多かったのは,建物が廃墟化し,ごみの山が放置され,失業率が市内でもっとも高いことで知られるブロンクス地区だった。

バーバラ・エーレンライク 中島由華(訳) (2010). ポジティブ病の国,アメリカ 河出書房新社 pp.249

資本主義というやつ

 実はこのように,ビジネスの仕組みを作った資本家が,労働者を使用して利益を得るシステムが,「資本主義」というやつなのだ。
 資本家になれば,多かれ少なかれ,バフェットのようにお金の奴隷から抜け出すことができるし,余ったお金と時間で,自分が本当に好きなことだけを追求することができる。
 私が,今こうして本を書く時間を得られたのも,資本家となり,お金の奴隷から抜け出すことができたからこそなのだ。
 もちろん,どちらを選ぶかは,あなたの自由。
 選択の自由が与えられていることも,資本主義の特徴なのだから。

田口智隆 (2010). 11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業 フォレスト出版 pp.81

住宅補助プログラム=服役

 貧困から逃避するために刑務所を利用するのは,目新しいことではない。現在,アメリカには服役中の囚人が200万人以上いて,その大半が下級階級に属する人びとである。じっさい,刑務所に送られる者は増加しているが,社会保障制度は縮小されている。アメリカ政府の提供する囚人用ベッドは200万台だが,貧困者向けの公営住宅は130万戸しかないうえに,急速に減少しつつある。バウアーズは兵役免除者向けの住宅補助プログラムに応募することもできたが,一部の都市では待機期間がきわめて長く,禁固3年の方が短いくらいなのだ。
 つまり,いまという時代に,アメリカでもっとも大規模な住宅補助プログラムは服役制度だという事態になりかけている。

バーバラ・エーレンライク 中島由華(訳) (2009). スーパーリッチとスーパープアの国,アメリカ:格差社会アメリカのとんでもない現実 河出書房新社 pp.58

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