読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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病院内でのヒエラルキーにも納得がいかない。医療従事者である療法士は医師よりもはるかに低い給与水準で働いている。確かに僕の脳梗塞についても脳外科医たちは再発を防ぐためにベストを尽くしてくれてはいるが,悪く言えば「再発・悪化さえしなければOK」と感じているようにも思える。僕がなにを不自由に感じていて苦しんでいるのかを知るのは,そのために指導し僕のQOL向上を常に考えてくれているのは,ほかでもないリハビリの先生たちなのだ。
鈴木大介 (2016). 脳が壊れた 新潮社 pp.83
「鈴木くんさあ,リハビリっつうのはさ。あの,なんつうかな?そうそう,あ~れ,駄菓子屋のくじ引きなんだよね。駄菓子屋にあんだろ?壁に引っかかってるくじの束から引っこ抜いてくやつ。あ~れなんだよね。あれ,これかな?これじゃねーならこっちかな?って感じで,あちこち手当り次第に力入れてみて,指動かそうとしてるのに足動いたり顔が引きつったりすんでしょ?そんで駄目でも片っ端から試して,そんでも全部外れくじで,その挙げ句に『ようやく動いたあああ!!』っていうのが,アタリくじ。で,いっぺん当たったら,そのアタリくじを何度も引いて,場所を覚えちゃって,一発でアタリ引けるようになるっつうのが,リハビリなワケ。分がる?」
それそれ!めっちゃ分かります。だって俺,昨日そのアタリくじ引きましたよ!織田信長って書いてありました。今日はどこにあったか忘れちゃったけど,また探せば見つかりますよね。
鈴木大介 (2016). 脳が壊れた 新潮社 pp.54
飲酒と病気の疫学調査では,適量飲酒者のほうが非飲酒者より健康面で有利だという結果が見られる。これに対して,適量飲酒者は一般に裕福で恵まれているからだという批判がある。疫学調査が実施された西欧社会では,適量の飲酒はごく当たり前のことであり,生活習慣にとけ込んでいる。酒を飲まない人は,飲まないことをあえて選んだ少数派と言ってもいいだろう。その理由はわからないが,健康問題が背景にあることも考えられる。だとすれば,非飲酒者の発病リスクが高くなる真の原因は,そこにあるのではないだろうか。
リチャード・スティーヴンズ 藤井留美(訳) (2016). 悪癖の科学:その隠れた効用をめぐる実験 紀伊國屋書店 pp.61