十六世紀から十七世紀になると,学者たちはてんかん発作に先立つ突然の恐怖,興奮,ストレス,頭部損傷などの要因に目を向けるようになり,てんかんの医学的な理解が進んだ。てんかんを科学的に解釈する傾向は啓蒙時代に受け継がれ,学者はてんかん患者を観察する重要性を強調し,動物やヒトを対象にした実験によって,てんかん発作の生物学的要因を解明しようとした。 十九世期には,医師がてんかん患者と「狂人」を区別しはじめ,てんかんの研究に大きな進展が見られた。フランスでは,臨床医が grand mal (大発作),petit mal (小発作),absence de saisie (アブサンス発作)といった用語を導入し,それぞれに詳細な臨床的記述を与える一方で,精神科医は患者の記憶障害をはじめとする行動異常に興味を示した。 十九世期末,イギリス神経学の父祖ジョン・ヒューリングス・ジャクソンの尽力で,てんかん研究は大きな転換期を迎えた。ジャクソンは多数の患者の治療歴を記録し,それらの患者には自身の患者,他の医師の患者,医学文献で触れられた患者の例も含まれた。彼はこうした医学的記録の詳細を調べ上げ,てんかん発作が脳内の一領域に始まり,他の領域に秩序正しく広がっていくという新説を豊富な情報にもとづいて提唱した。こうした驚嘆すべき発作パターンはジャクソン型てんかんとして知られるようになり,初期の外科治療は以上が一つの孤立した脳領域である患者に限られた。
では,ウジはどうやって細菌におかされた傷を癒すのだろうか。外科医が傷口を消毒しようとするときにやることを,もっと手際よく,手数をかけずにやるだけのことだ。Debridementをウェブスターの辞書(Webster’s New College Dictionary)で引いてみると「傷つき,挫折し,あるいは感染した組織を外科的に取り除くこと」とある。外科医が死んだ組織をメスで切り離そうとすると,一緒に生きている組織まで損なってしまうのは避けられない。ところがウジは死んだ組織を文字通り細胞単位で取り除き,そのうえ好みがまことにうるさいので,死んだ細胞しか食べようとしない——生きている細胞には見向きもしないのだ。ウジは,最大限まで成長すると傷口を離れるので,傷を覆っている包材から取り除かれる。自然界では,動物の死骸や生きた動物の化膿創にとりついてせっせと腹を満たしていたウジはその段階になると——ほとんどすべての蝿の幼虫の例に漏れず——その場を離れて地面に落ち,浅い穴を掘って蛹になる。