言い換えると,認知機能についてわかっていることから示唆されるのは,宗教的信念についての私たちの一般的な見方にはまったく誤っている面がある,ということである。私たちは,ある明示的決定(「先祖がそのへんにいる」や「全知の神がいる」)が最初に来て,その決定が人々が特定の状況を理解するのを助けると仮定する。しかし,日常的な場面と同じく,宗教的な場面でも,いくつかの心的システムがこれらの一般的家庭に照らすと意味をなす直観をすでに与えている。それゆえ,特殊な状況の解釈を生み出したり,これからどうするかを考えたりするために(すでにそのなかに神や先祖が含まれている),先祖や神の存在を考える必要はない。
パスカル・ボイヤー 鈴木光太郎・中村潔(訳) (2008). 神はなぜいるのか? NTT出版 pp.408-409
(Boyer, P. (2002). Religion Explained: The Human Instincts that Fashion Gods, Spirits and Ancestors. London: Vintage.)
PR