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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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ランダム・リンク

 規則的なネットワークの中で暮らしていて,離れた2つの地点AとBのあいだを移動したいと考えているとしよう。残念ながらこの場合は,しんどくても1歩ずつ進んでいくしかない。結局のところ,規則的なネットワーク内のリンクは近い位置にある点どうしを結んでいるだけで,離れた2点間をつなぐ短絡路(ショートカット)や架け橋(ブリッジ)はいっさい存在しない。けれども,ランダム・リンクを何本か入れてやると,このネットワークの性質は変化する。たまたま,新しく入れたリンクのうちの数本が遠く離れた2地点のあいだに延びていることもあるだろう。遠方への旅をしなければならないとしても,今度は一種の長距離高速道路を利用して旅の苦労を取り除くことができるし,高速を下りたあとは,短い距離を何段階かたどれば正確な目的地に到着することができる。
 そこで,世界の全人口,60億の人からなる円周に戻ることにしよう。ここではだれもが,直近の50人の隣人とつながっている。この規則的なネットワークの隔たり次数はざっと6000万だ。これは,1回に50人分移動したときに,60億人からなる円周を半周するのに要する回数に等しい。しかしながら,数本のランダム・リンクを入れると,この数字は急激に小さくなる。ワッツとストロガッツの計算によれば,新たに入れたランダム・リンクの割合が1万本につき2本でも,隔たり次数は6000万から約8に下がる。もし1万本につき3本の割合なら,5まで下がる。一方,ランダム・リンクがこれくらい少なければ,社会のネットワークならではの構造を作りだしているクラスター化には目立った影響は生じない。

マーク・ブキャナン 阪本芳久(訳) (2005). 複雑な世界,単純な法則:ネットワーク科学の最前線 草思社 pp.82-83
(Buchanan, M. (2002). Nexus: Small Worlds and the Groundbreaking Science of Networks. New York: W. W. Norton & Company.)
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