忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

べき乗則と自己相似性

 べき乗則は,河川のネットワークのどこか一部をとって拡大すれば,そこに全体と非常によく似たパターンが現れることを意味している。言いかえれば,河川のネットワークは見かけとはちがって,それほど複雑ではないのだ。無数に生じる偶然の出来事のために,河川のネットワークはどれもその水系特有のものになっているだろう。それにもかかわらず,あるスケールで進行していることは,別のスケールで進行していることと,どんな場合でも切っても切れない関係にある。河川のネットワーク構造の背後に単純性が隠れていることを示しているこの特徴は,「自己相似性」と呼ばれており,河川のネットワークに見られるような構造を「フラクタル」と言うこともある。べき乗則の真の重要性は,なんの意図ももたない偶然によって左右される歴史の過程のうちにすら,法則にも似たパターンが生じる場合があることを明らかにしてくれる点にある。自己相似性という性質をもつがゆえに,河川のネットワークはどれもみな似たものになっている。歴史や偶然は,法則にも似た規則性やパターンの存在と,なんの矛盾もなく両立できるのである。

マーク・ブキャナン 阪本芳久(訳) (2005). 複雑な世界,単純な法則:ネットワーク科学の最前線 草思社 pp.159-160
(Buchanan, M. (2002). Nexus: Small Worlds and the Groundbreaking Science of Networks. New York: W. W. Norton & Company.)
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]