取引の一方がもう一方よりもたくさん情報を持っているということはよくある。経済学者の専門用語でこれを情報の非対称性と言う。私たちは,誰か(普通は専門家)が他の誰か(普通は消費者)よりもよくわかっていることが資本主義ではよくあると思っている。でも実際は,あらゆるところでインターネットが情報の非対称性に致命的な打撃を与えている。
インターネット上では情報が通貨だ。情報を,持つ人から持たざる人へ伝達する媒体として,インターネットは素晴らしく効率的である。定期生命保険料がそうだったように,情報はあってもてんでばらばらだったりすることもある(そういうときインターネットは,数えきれないほどの干し草の山から針を次々と吸いつけていくばかでかいU字磁石みたいな働きをする)。ステッソソン・ケネディがジャーナリストもいい子ちゃんぶった社会派も検察官も誰にもできなかったことをやってのけたように,インターネットは消費者保護団体にはできなかったことをやってのけた。専門家と一般人の格差を大幅に縮めたのだ。
スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー 望月衛(訳) (2007). ヤバい経済学[増補改訂版] 東洋経済新報社 p.76
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