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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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単数・複数は無駄

 これまで日本人の中には,複数の概念が日本語では必ずしも言葉の上で明示されないから,科学的思考の発達が遅れたなどという人がいました。しかし一匹の犬を a dog,二匹以上の犬を dogs とすることが科学的といえるでしょうか。これでは二匹以上がすべて十把ひとからげにされて互いの違いは無視されてしまっています。
 日本語(やトルコ語,朝鮮語,蒙古語など)では,数の概念を明示する必要のあるときは,それを表す言葉(数詞,形容詞など)を名詞の前に置きます。<二羽の雀>,<沢山の花>,<多くの人>のようにです。よほど記憶力の悪い人ならいざ知らず,例えば<沢山の>といわれれば,次に来る<花>が複数であることは誰にとっても自明でしょう。
 ですから,<沢山の花々が咲き咲きましたました>などと,複数概念をいちいち各項目ごとに繰り返さないのです。つまり因数分解の要領ですべての語彙項目に含まれる複数の概念を先頭に括りだしてしまうわけです。しかしこの点ヨーロッパの多くの言語はみな,<沢山の花々が咲き咲きましたました>のような無駄なことをいつまでもやっているといえます。

鈴木孝夫 (2009). 日本語教のすすめ 新潮社 pp.21-22
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