自己制御(self-regulation)とは自分の行動をコントロールすることである。自己制御は「自動的な制御」と「コントロールされた制御」とに分けられ,通常は後者によっている。自己制御は衝動を制御することによって行われる。自己制御には,①自分と基準を比較し,②自分を基準に近づけるように操作し,③基準に到達するまで比較を繰り返す,といったプロセスがある。こうしたプロセスはフィードバックのループをなしている。
自己制御の失敗には,制御不足と制御ミスがある。制御不足が起こるのは,基準がない場合,基準どうしが矛盾している場合,モニタリングに失敗した場合,望ましい操作を実行できなかった場合である。制御ミスとは,自分の行動をコントロールできても,思い通りの結果を得ることができないことである。
われわれは自己制御の「力量」モデルを仮定している。自己制御を行うためには「力量」すなわち心的な資源が必要である。自己制御のためにこの力を利用すると,一時的に消耗してしまう。この力量は訓練によって強められる。ストレスや不快感情があると,そのために力量が使われてしまい,自己制御のための力量がなくなってしまう。
K.L.デイル & R.F.バウマイスター (2001). 自己制御と精神病理 R.M. コワルスキ&M.R.リアリー(編著) 安藤清志・丹野義彦(監訳) 臨床社会心理学の進歩 実りあるインターフェースをめざして 北大路書房 158-190.
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