各テクノロジーのもたらす経済効果はさらに強烈だ。容量や速度が2倍になれば,コストは半分になる。2年ごとに同じ価格のコンピュータの性能は2倍になり,同じ性能のコンピュータの価格は半分になる,ということだ。
トランジスタを例に見てみよう。1961年には1個が10ドルだった。2年後には5ドルになった。さらに2年がたった1965年4月,ムーアが『エレクトロニクス』誌にかの予測を発表したときには,2ドル50セントに下がっていた。1968年までに1ドルまで低下した。その7年後には10セントになった。さらにその7年後には1セントになり,まだ下がりつづけている。
今日,インテル社の最新プロセッサのチップには,20億個のトランジスタが集積されていて,300ドルしかしない。つまり,トランジスタ1個のコストは約0.000015セントだ。それは,安すぎて気にならないものだと言えよう。
情報処理能力と記憶容量,通信帯域幅が速くなり,性能が上がり,安くなるという3重の相乗効果をオンラインは享受している。だから,私たちはユーチューブのようなサービスを無料で受けられるのだ。そこでは,量的に限度なく動画をスムーズに見ることができ,画質もどんどんよくなっている。それらは,ほんの数年前には目の飛び出るほど費用がかかることだった。
クリス・アンダーソン 高橋則明(訳) (2009). フリー:<無料>からお金を生み出す新戦略 日本放送出版協会 pp.103-104
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