今日,ブロードバンド環境で育った若者が,デジタルのものはすべてタダであるべきだと考えやすいのは本当だ(実際にほとんどがそうだからだろう)。彼らを「フリー世代」と呼ぼう。
この集団——はまた,情報は無限であり,すぐに手に入ると考えている(彼らはグーグル世代とも呼ばれている)。彼らはコンテンツや他の娯楽にお金を払うことをますます敬遠するようになっている。なぜなら,無料の選択肢がたくさんあるからだ。万引きしようとは思わないが,ファイル交換サイトから音楽を不正にダウンロードすることについては何もためらわない。アトム経済とビット経済の違いを直観的に理解していて,アトム経済ではお金を払うべき本物のコストがかかるが,ビット経済はコストがかからないことをわかっている。その観点から言えば,万引きは窃盗だが,ファイル交換は被害者のいない犯罪なのだ。
彼らは,フリーが無料だけにとどまらず,自由でもあることを求める。登録システムによる制限や著作権管理スキーム,自分たちが手に入れられないコンテンツに抵抗する。彼らの質問は「いくら?」ではなく,「なぜ払わなければならない?」だ。と言っても彼らは傲慢なわけでも権利を主張しているわけでもない。フリーの世界で育った彼らの経験から出た言葉だ。
クリス・アンダーソン 高橋則明(訳) (2009). フリー:<無料>からお金を生み出す新戦略 日本放送出版協会 pp.305-306
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