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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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計算と情報の切り捨て

 計算をすると,その過程で情報が捨てられる。取り返しのつかない不可逆のことが実際におきる。これは計算によって情報が処分されるからだ。4は2+2より情報が少ない。だから,2+2という問題が計算の結果に置き換えられた時に不可逆性が生じる。もし,出発点と途中の計算を捨てて答えだけを残すという作業をしなければ,計算は不可逆にはならない。計算を元に戻せるので出発点に戻ることができる。だがそれには,途中の計算をとっておかなければならない。計算の意義は情報をへらすこと以外の何ものでもない。途中で何か捨てなければ,どんな計算も時間の無駄になる。計算は,可逆的なものと不可逆なものの2つのタイプに分けられる。後者は逆戻りできず,現実に面白いのはこちらのタイプ,つまり,取り返しのつかない形で情報を処分する計算だ。結果がわかっているからといって,出発点まで逆戻りすることはできない。

トール・ノーレットランダーシュ 柴田裕之(訳) (2002). ユーザーイリュージョン:意識という幻想 紀伊国屋書店 p.140.


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