時代が変わり,男と女の関係においても,いろいろな面が変わった。今では,「オレは男でオマエは女。だからオレのほうが偉いんだ」などと,口に出して言う男性はまずいまい。しかし,お互いの関係の中で,どこかにそんな男性の潜在意識を感じて,不満に思っている女性がかなりいることも事実である。
せっかくの「会話」が,いつの間にやら「講義」に変わり,男は先生よろしく一方的に講釈しまくり,女は生徒よろしくただただ忠実な聞き手にまわされる——こんな場面も,ときに見受けられる。
ここにも,男女の関係における「非対称性」が見てとれる。もしも男と女が交互に先生と生徒を演じていくのなら,問題はない。しかし,女性は<和合>を築こうとするあまり,どれほど情報や専門知識をもっている場合でも,それを誇示するよりは控えめにふるまうことが多い。
一方の男性は,<地位>を重視するから,それを誇示できる機会を見つけては,ここぞとばかりに主役の座を狙うのである。
デボラ・タネン 田丸美寿々(訳) (2003). わかりあえる理由・わかりあえない理由:男と女が傷つけあわないための口のきき方8章 講談社 pp.153-154
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