男と女が,互いに相手から話を妨害されたと感じるのは,それぞれの会話スタイルが違うからにほかならない。会話を「競合」としてとらえる男は,他人の話の聞き役に甘んじるよりは,むしろ会話を自分の思いどおりの方向——たいていは自分が主役になって話したり,ジョークを披露したり,知識を誇示したりできる方向——へと,導こうとする。しかし,そのときには,相手もまた自分と同じように,会話の主導権を守るために応戦するものと考えている。
ところが女性は,そうした戦いを避けがちだ。ただし自分に自信がないからではない。<和合>を大切にするから,争いは敬遠しようとするだけのことである。女性は,話題を自分の思いどおりに変えることを,会話というゲームにおける1つの「手」だとは考えない。ゲームのルールを破る「反則」と見なしてしまうのだ。
デボラ・タネン 田丸美寿々(訳) (2003). わかりあえる理由・わかりあえない理由:男と女が傷つけあわないための口のきき方8章 講談社 pp.258-259
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