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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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他人の眼に映る自分を愛する

 水面に映った自分の姿に恋する,古代ギリシア神話のナルキッソスの話には,多くの次元があり,様々な解釈が可能だ。現在最も広く受け入れられているのは,ある男が自身の姿に恋してしまったために,強く心を寄せる魅力的な女性エコーに興味を示さなかった,というものだ。それがもとで神々の怒りを買い,彼は花の姿に変えられてしまう。このコンテクストでは,この神話は外側から眺めた自己,つまり他人の目で見た自己に夢中になりすぎるという行為が孕む危険性を表していると解釈できる。夢中になった結果,人は自分の要求をただちに,じかに感じる能力を失う。ナルキッソスの問題は自分を愛したことではなく,他人の目に映る自分を愛したことにある。

トール・ノーレットランダーシュ 柴田裕之(訳) (2002). ユーザーイリュージョン:意識という幻想 紀伊国屋書店 p.393.


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