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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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人間は仲間を容赦なく殺す動物である

 ビンガムはタダ乗りを防止するコストは,離れたところから殺傷したり怪我を負わせたりする手段を持つことで大幅に軽減されると論じた。だが,私にはこれが決定的な要因であるとはあまり思えない。だが,私にはこれが決定的な要因であるとはあまり思えない。ビンガム自身も言うように,コストがメンバーの間で共有されるなら,1人あたりの損失は大幅に減少するからである。10頭のライオンが1匹のタダ乗りライオンをやっつけるにはたしいたコストはかからないだろう。人間でも同様だ。重を持った0人の男が,1人の裏切り者を始末するのはそれほど難しくない。1人ずつで見れば返り討ちにあうリスクは決して大きくない。そうとはいえ,協力関係の維持を考えるとき,単に離れたところからでも殺傷できるという理由で,銃を持った人間はライオンより勝っていると言えるだろうか?
 その可能性は確かにある。1つの可能性として,協力関係がより高度な武器の発明につながったことが考えられる。実際,ホミニンの進化の大部分は武器づくりの競争と言うこともできる。われわれの武器は,単純に石を投げるところからはじまった。やがて槍,そして弓と矢を使うようになった。さらに,銃,爆薬,核兵器へと進歩(この表現が正しいなら)した。また,ビンガムは人間が伝統的な敵より,むしろ協力関係にある仲間を容赦なく殺すことを示す統計を引用した。この統計は驚くべきものだった。20世紀には,少なくとも1億7千万人,最大の見積もりでは3億6千万人が自国の政府によって殺害された。このような残酷な時代が終わってくれたことはありがたい。一方,20世紀の大戦における死亡者数はたった4200万人なのだ。カンボジアではクメール・ルージュの時代である1975年から1979年に,人口のおよそ3分の1が殺された。これは大規模な協力関係を維持するコストの極端な例だろう。だが,カート・ヴォネガットの言葉にあるように,そういうものなのだ(So it goes)。

マイケル・コーバリス 大久保街亜(訳) (2008).言葉は身振りから進化した:進化心理学が探る言語の起源 勁草書房 pp.158-159
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