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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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手話の否定文と疑問文

 音声言語と手話言語には違いもある。手話言語では文法的な意味づけと内容の伝達が同時に行われる。手話単語の要素も時系列的ではなく同時に伝えられる。これと似たようなものだ。例えば,肯定文を否定文に書き換えることを考えてみよう。英語では「not」を文中に挿入することで否定文と文法的に定義する(もちろんこの他の変化もしばしば伴う)。例文をあげるなら,「The cow jumped over the moon(牛は月よりも高く跳ねた)」は「The cow did not jump over the moon(牛は月より高くは飛ばなかった)」になる。もしくは「I kid you(だましたんだよ)」は「I kid you not(だましていないよ)」となる。信じてほしい。アメリカの手話では先に述べたように,否定は眉を寄せながら頭を振ることで伝えられる。そうでなければ肯定だ。頭を振りながら,「go」のサインを出すのは,I am going からI am not going へ変化したことを意味する。他にも顔のジェスチャーを使って文法的な意味づけを行う方法がある。「cow-jump-moon(牛—跳ねる—月)」という手話単語の系列は,頭を前に出し肩を動かして,さらに眉をつり上げながら行えば「Did the cow jump over the moon?(牛は月の向こうに飛んでいったかい?)」という疑問文になる。頭を後ろに傾けて,眉と上唇を上げながら同じ系列「cow-jump-moon」を行えば,この部分は分のなかの関係詞節として認識される。例えば,「The cow that jumped over the moon broke a leg(月の向こうに飛んでいった牛は足を骨折した)」のような文で使われるようなものだ。

マイケル・コーバリス 大久保街亜(訳) (2008).言葉は身振りから進化した:進化心理学が探る言語の起源 勁草書房 pp.199-200
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