昨今の大病院の医者は何かにつけ「検査」を行い,患者そのものをろくに診もしません。私自身,それでひどい目にあったことがあります。結果として単なる坐骨神経痛だったのが,近所の大学付属病院の整形外科に行ったら,いきなりCTスキャンから始めて心臓カテーテルで足の血管造影までやらかし,数万円の検査料を取られ,結果は「よくわからない,治療する気もない」。複雑怪奇な検査の結果としてはあまりにあっさりと匙を投げられました。やむなく知り合いの神経生理の教授に紹介されたカイロプラクティックに出向いてみると,その先生は私の背中をじっと観察して,「あなたの背骨は曲がっています。それで神経が圧迫されて坐骨神経痛になっているのです。曲がっている反対側にストレッチしなさい」と言われ,実行したら数年来の痛みがケロリと治りました。ひたすら「観察する」ということは,病気を治す技術者である医師の務めでしょう。こうした事情も,私が東洋医学,あるいは代替医療を贔屓にする理由の1つです。
傳田光洋 (2007). 第三の脳:皮膚から考える命,こころ,世界 朝日出版社 p.109
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