親世代と子世代のもっとも違う点は何か。それは,今はやり直しがきく時代だ,ということだ。学歴で選別され,歩む道が最初から異なる社会人人生は,ナンセンスである。たとえ学力に劣っていたとしても,たとえ一流大学出身でなくても,それをリカバーするものがあれば,評価してくれる会社はいくらでもある。一度仕事についたら,文句を言う前に,まずはやれるだけやってみることだ。そして酸いも甘いも体感した上で,最初に歩み出した道が違っていたと気づけば,途中で方向転換すればいい。転職者が負け犬呼ばわりされる時代はとっくの昔に終わっている。経験したこと,積み上げたものに価値があれば,やり直しはいつでもできる。
大事なことは,迷ったらやってみる,一歩前に出てみる勇気を持つことだ。最初から自分の希望を100%満たす会社や仕事なんて,あるはずがない。仕事をしたこともない者に,その仕事が向いているかどうかわかる道理はないのだ。判断するのは,やってみてからでも遅くない。そして踏み出した道で,まずは経験と実績を積み上げることだ。石の上にも三年という格言は,人生の勝ち組になる鉄則である。すぐに辞める者を,世の中は評価しない。親は,逃げそうになる子をじっと見守る強さを持たなければならない。それが本当の愛情というものだ。苦労せずして成長することなどあり得ないということを,大人は我が身をもって知っている。
中村昭典 (2009). 親子就活:親の悩み,子どものホンネ アスキー・メディアワークス pp.201-202
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