恥は,公の場に出たり人から非難されたりすることから生じ,罪悪感は,自分の良心の呵責から生じる。
恥は,その人のもろさや欠点が公にさらされることによって生じる。罪悪感は,人の心の中で生じる。社会の規範を破ったり不道徳な行いをした責任について,他人は知らないことについても罪悪感を感じるのである(Gehm & Scherer, 1988, p.74)。
ところが,このような公私による区別を支持するような実証的な証拠はないのである。
恥と罪悪感の違いは,きっかけとなる出来事の内容が違うのかもしれない。たとえば,ある種の出来事は恥を引き出し,別の出来事は罪悪感を引き出すかもしれない。ところが,こうした区別を裏付ける証拠もあまりないのである。
J.P.タングネー & P.サロベイ (2001). 恥・罪悪感・嫉妬・妬み:問題をはらむ社会的感情 R.M. コワルスキ&M.R.リアリー(編著) 安藤清志・丹野義彦(監訳) 臨床社会心理学の進歩 実りあるインターフェースをめざして 北大路書房 191-221.
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