短波(HF)は,3〜30メガヘルツの周波数のことで,お財布ケータイなどで使われています。微電力で使うと財布の中に入れておいてもちゃんと使えますが,大きな電力だと遠くに飛ぶ性質があります。したがって,短波ラジオなどとの混信に気をつける必要があります。
次に,超短波(VHF)は,30〜300メガヘルツを示します。現在はFMラジオやアナログの地上波テレビ放送に使われています。2011年にアナログテレビ放送が終了すると,その「跡地」として新しいサービスでの利用を考えるのもこの周波数です。
その次は極超短波(UHF)で,300〜3000メガヘルツ(3ギガヘルツ)です。デジタル通信で一番重宝されているのがこの周波数帯です。ほとんどの携帯電話,地上デジタルテレビ放送,無線LANなどがこの周波数を使います。世界で激しく伝播オークションが行われるのもこの周波数です。インターネット関連の技術が現在一番使いやすい周波数で,デジタル技術として普及も大きいため,利用コストは低く,権利価格が高くなっています。つまり地上の無線ビジネスとしては最も価値が高い周波数で,電波割り当ての政策的な議論の焦点はここにあるといっていいでしょう。
マイクロ波(SHF)は,3〜30ギガヘルツのことで,一部の無線LANでも使っていますが,衛星通信など直進性を生かした利用が進んでいます。30ギガヘルツ以上のミリ波と呼ばれる周波数も,その直進性を生かした,障害物がない場合の通信のための周波数として期待されています。たとえば,高速道路で前後に走る自動車の間の通信,「車車間通信」などは,新しい技術が開発されれば,交通の安全管理にたいへん大きな貢献ができる分野として研究開発が進んでいます。
村井 純 (2010). インターネット新世代 岩波書店 pp.58-60
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