日本からのインターネットのケーブルは,太平洋からアメリカを経由してヨーロッパに回っており,日本海側にはつながっていませんでした。本来,日本海側からもヨーロッパにつながり,北半球をとりまく「ネックレス」ができていれば,どこか一箇所で何かトラブルが起きても,太平洋経由か日本海経由かどちらかは通信できるので,これは非常に重要です。
南半球やアジアの国々についても同様のことがいえます。アジアのケーブルには,日本からシンガポールを経由してインドに行きインドから中東に行って,スエズ運河でヨーロッパに行く南回りの回線,およびアフリカに行く回線が物理的にはあります。これが日本を中心に見たときのアジアの生命線となっています。さらに,シンガポールから南下して,インドネシアを通ってオーストラリアに降りていくケーブルも,オセアニア地域,南半球にとっての命綱です。それから,太平洋を経由するケーブルに北回りと南回りがあり,これで日本は世界の中心になるわけです。
このインフラを保ち,インターネットで有効に利用できることが基盤としての信頼性を作ることに他なりません。しかし,日本のインターネットのヨーロッパや中東アフリカ,インドとのトラフィックは,アメリカを回っているのが現状です。
村井 純 (2010). インターネット新世代 岩波書店 p.155
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