これらは繰り返し語られるテーマである。超心理に興味を見いだした科学者は,最初かなり熱狂的にとり組むのである。科学的見地からすれば,超心理の実体はきわめて重要なのである。そして一見したところ,それはそれほどこみいったものには見えない。超心理実験の多くは,少なくとも原理的には,滑稽なほど単純なのである。だから,新参の研究者はしばしば,それまでの研究者は能力が足りなかったか,問題にしっかり向き合っていなかったのだと,ひそかに思いこむのである。しかし,2〜30年,難問をかじってみると,研究者は少し年を重ねて賢くなり,温和な意見を言うようになるのだ。超心理が本当に存在すると確信しながらも,同時に超心理現象は大いなる謎だと理解している,そう認めるようになる。
私の感触では,この難問についてウィリアム・ジェームズが妥当な考え方をもっていた。1897年の自著で,彼は「心理学,生理学,医学の分野では,神秘主義者と科学主義者の論争が最終的に決着するときはいつも,事実については神秘主義者が正しく,理論については科学主義者が上をいく」と述べている。
ディーン・ラディン 竹内薫(監修) 石川幹人(訳) (2007). 量子の宇宙でからみあう心たち:超能力研究最前線 徳間書店 p.312
PR