われわれはマリリン・ヴォス・サヴァントを賞賛しなければならない。なぜなら,彼女は初歩的な確率の問題に対する大衆の理解を高めようとしているだけでなく,挫折感を抱かせるようなあのモンティ・ホール問題を経験してからも,そうした問題を書きつづける勇気をもっているからだ。ここでの話を終える前に,彼女のコラムからとったもう1つ別の問題を取り上げておこう。これは1996年3月のものだ。
これは父がラジオで聞いた話です。デューク大学で2人の学生が学期間中ずっと化学でAの成績をとっていました。ところが学期末試験の前夜に彼らは別の州でパーティをしていて,デューク大学に戻ったのは期末試験が終わってからでした。タイヤが1つパンクしたというのが担当教授に対する2人の弁解で,再試験をしてもらえないかを教授に尋ねました。教授はそれに同意し,試験問題を書き,2人を別々の部屋に入れて試験を受けさせました。問題用紙の表に書かれていた最初の問題は5点満点の問題でした。ついで問題を裏返すと,2問目は95点満点の問題で,「パンクしたのはどのタイヤだったか?」という問題でした。2人の学生が同じ答えを書く確率はいくらだったでしょうか。父と私は16分の1だと考えています。それで正しいですか?
いや,そうではない。もし2人の学生が嘘をついていたのであれば,彼らが同じ答えを書く正しい確率は4分の1である。
レナード・ムロディナウ 田中三彦(訳) (2009). たまたま:日常に潜む「偶然」を科学する ダイヤモンド社 pp.82-83
(Mlodinow, L. (2008). The Drunkard’s Walk: How Randomness Rules Our Lives. New York: Pantheon.)
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