過去を説明する話を考え出したり,将来に対する曖昧なストーリーに確信をもつようになったりすることは簡単だ。また,そうした努力に落とし穴があるということは,われわれはそれを企てるべきではないということを意味しない。しかし,われわれは直感的誤信に陥らないようにすることができる。われわれは,解釈も予言も,懐疑心をもって見るようになれる。われわれは出来事を予言する能力に頼るのではなく,出来事に対応する能力に,柔軟性,自信,勇気,忍耐のような人間的性質に,より多くの重要性を置くことができる。そしてこのようにすれば,われわれは,自動的な決定論的枠組みの中で判断するのを食い止めることができる。
レナード・ムロディナウ 田中三彦(訳) (2009). たまたま:日常に潜む「偶然」を科学する ダイヤモンド社 pp.299-300
(Mlodinow, L. (2008). The Drunkard’s Walk: How Randomness Rules Our Lives. New York: Pantheon.)
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