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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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人間は理性的ではない

 今日では,意思決定を研究しているほとんどの人々が,人間は理性的でないということに同意している。「わたしたちはリスク測定者のようにあれこれやらない——計算をしたり,可能性を増やしたりしない。そういうのが誤りであることが証明されてきた」と,ポール・スロヴィックは述べている。彼はオレゴン大学の心理学教授であり,世界的な評価を得ているリスク研究の権威である。計算の代わりに,人間は2つの異なったシステムに頼るのだ。すなわち直観と分析である。直観システムは,無意識で,すばやく,感情的で,経験やイメージによって大きく揺れ動く。一方,分析システムは脳の本能的な衝動に対して,自己を現実に適応させるように働きかけ,論理的で,慎重で,現実的である。
 1つのシステムがもう1つのシステムより優先される場合もあり,それは状況次第である。たとえば,次の問題について考えていただきたい。

 コーヒーとドーナツは合計で1ドル10セントである。コーヒーはドーナツより1ドル高い。ドーナツの値段はいくらか?

 最初に出した答えが10セントなら,答えているのはあなたの直観システムだ。それから考え直して正しい答え(5セント)に到達したら,それはあなたの分析システムが直観を支配下に置いたのである。

アマンダ・リプリー 岡真知子(訳) (2009). 生き残る判断 生き残れない行動:大災害・テロの生存者たちの証言で判明 光文社 pp.78-79
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