性格を心理学的に測定するために,知能検査の構成を通じて確立された心理学的測定の論理が用いられることは先にも述べた。性格についての心理学的測定用具は,性格尺度と性格検査に分類することができる。おもに特性論的な考えに依拠して,特定の性格特性だけを測定するために構成された測定用具を性格尺度(personality scale)と呼ぶ。不安尺度,外向性尺度,カリフォルニアFスケール,刺激欲求尺度などは,いずれも性格尺度である。
特定の性格特性だけを測定することではなく,ひとりの人の性格全体か,全体ではなくても複数の性格特性を同時に測定することを目的とした測定用具を,性格検査(personality inventory)と呼ぶ。たとえば類型論に基づいて人をいずれかの類型に当てはめることを目的としたテストは,性格検査である。特性論に基づいても,性格尺度のように特定の性格だけを測定するのではなく,複数の特性を測定することでより広範な性格を測定しようとするものは性格検査である。MMPI,YG性格検査などが典型的な性格検査であり,一般にパーソナリティ・アセスメントと呼ばれるものの大半もそうである。
渡邊芳之 (2010). 性格とはなんだったのか:心理学と日常概念 新曜社 p.32
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