日本における母子家庭の相対的貧困率は,OECD諸国の中でもかなり高く,トルコに次いで2位というありさまです。日本では,結婚して出産してシングルになる,というのは,貧困への最短コースのようです。
少子化対策の中であまり議論になりませんが,母子家庭(もちろん父子家庭もですが,貧困率は母子家庭の方がずっと高い)でも,子育て上大きな問題がないように支援するべきではないでしょうか。そうすれば,出産してから貧困に陥るリスクが下がるので,結果的に少子化にも効果があると思われます。
ただ,母子家庭に対する支援の方法は,なかなか難しい問題を含んでいます。現在でも児童扶養手当が支給されていますが,児童が18歳に達した日を含む年度で打ち切りになってしまいます(障がいを有する場合は,20歳の誕生月まで支給)。大学進学のための費用は,自力でなんとかしないといけないわけです。
現在は,大学進学が当然になってきているので,この点は緩和の必要があると思われます。
神永正博 (2010). 未来思考:10年先を読む「統計力」 朝日新聞出版 pp.75-76
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