大学教員ですので言いにくいことではありますが,大学の学費は,物価の上昇率よりもずっと速く上昇しています。
例えば,1975年度,国立大学の授業料は年間3万6000円でした。これが2008年度では,授業料が53万5800円(現在,国立大学は独立行政法人化されているため幅がありますが,この数字が標準額です)になっています。私立大学で同じように比べてみると,18万2677円だった授業料が,84万8178円になっています(学部学科で違うので,あくまで参考ですが)。
この34年で,国立大学の授業料は,額面で約14.88倍,私立大学は約4.64倍になっています。ところが,消費者物価指数をもとに,物価が何倍になったかをみてみると,約1.83倍にしかなっていません。
いかに大学の学費が高くなっているかがわかります。今や国立大学でさえ,初年度にかかる入学金と学費の合計は,80万円を超えます。理由はどうあれ,大学教育が昔に比べて数倍もの価値があるものになったとは言い難く,どうみても高くなりすぎている,といわざるを得ません。これでは,貧乏人は大学に来るな,といわんばかりではありませんか。
神永正博 (2010). 未来思考:10年先を読む「統計力」 朝日新聞出版 pp.83-84
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