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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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ホメオパシーの希釈の理不尽さ

 たとえばホメオパシーでは,30Cはごく普通の希釈だが,これははじめの母液が100倍に希釈されるプロセスが,30回繰り返されるということだ。つまり母液は,1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000倍に希釈される。この程度のゼロが並ぶぐらいは大したことはないと思われるかもしれないが,問題は,1グラムの母液にはたかだか1,000,000,000,000,000,000,000,000個ほどの分子しか含まれていないということだ。ゼロの数からわかるように,希釈の程度は,母液中に含まれる分子数よりも著しく大きい。これほど薄まった溶液には,もはや十分な数の分子は含まれていない。極端に希釈された溶液には,はじめの母液に含まれていた分子は1個も含まれていないと考えられるのだ。実際,30Cレメディに有効成分の分子が1個含まれている確率は,10億分の1の10億分の1の10億分の1の10億分の1である。換言すれば,30Cホメオパシー・レメディは,ほぼ確実にただの水だということになる。前ページには,これを模式的に示した。このことからもわかるように,ハーブ療法の薬剤と,ホメオパシー・レメディとはまったく別のものである。ハーブ療法の薬剤には,ある程度の有効成分が必ず含まれているのに対し,ホメオパシーのレメディには,有効成分と言えるものは何も含まれていないと考えてよい。

サイモン・シン&エツァート・エルンスト 青木薫(訳) (2010). 代替医療のトリック 新潮社 p.131
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