忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

偽薬を使う必要はない

 最後にもうひとつ,プラセボ効果に頼った治療を避けなければならない理由がある。実際,その理由は非常に有力なので,偽の薬や治療法を日常的に利用する必要はどこにもなく,まったく正当化できないことがすぐに明らかになるだろう。プラセボ効果はときに非常に有益なものになるという点は誰も否定しない。しかし実を言えば,プラセボ効果を引き出すために,偽薬を使う必要はないのだ。一見すると逆説的だが,少し詳しく説明すれば,あまりにも当然のことだとわかるだろう。
 医師が効果の証明された薬を処方すれば,患者には生化学的,生理学的な効果があるだろう。そしてその効き目は,プラセボ効果によってつねに強められるということを思い出そう。薬の標準的な効果のほかに,その薬が効くと患者が期待することによって,標準的なレベルを上まわる効果があるはずなのだ。それなのになぜ,プラセボ効果だけしかない治療を受けなければならないのだろうか?なぜセラピストは,プラセボ効果だけしかない薬を使うのだろう?それは患者を騙しているだけではないのだろうか?

サイモン・シン&エツァート・エルンスト 青木薫(訳) (2010). 代替医療のトリック 新潮社 pp.318-319
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]