ゴットマンによると,関係が壊れかけたときに相手の言葉を言い換えたり理解を示したりしても助けにならない。しかも実行には「感情のアクロバット的な操作」が必要で,ふつうの人にはむずかしすぎるという。チームの結論は議論を呼びそうだ。とくにアクティブ・リスニングの考え方を信奉するカウンセラーには受け入れられにくいだろう。だがべつの研究でも,アクティブ・リスニングが人間関係の要であることを裏づける証拠は見つかっていない。
相手の言葉に耳を傾け,相槌を打つことが円満の秘訣でないとしたら,どうすればいいのだろう。ゴットマンは,長続きするしあわせな男女のカップルは,対立したときのパターンに独特の特徴があると指摘している。女性のほうがたいてい厄介な問題を切り出し,問題について分析をおこない,解決法をいくつか提示する。男性がその案を一部でも受け入れて,パートナーに協力する姿勢を見せると,その後も関係が続く可能性が高い。だが,男性が相手の言葉をはぐらかしたり馬鹿にしたりすると、関係が壊れやすい。
リチャード・ワイズマン 木村博江(訳) (2010). その科学が成功を決める 文藝春秋 pp.183-184
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