ルールは破られるためにある——こうした考え方が集約されているのが,よく耳にするフレーズ「許可を求めるな,許しを請え」です。ほとんどのルールは,ある世界で最低限守るべきものとして作られていて,右も左もわからない人にとってはヒントになります。何かをしようとするとき,たとえば映画業界に入るとか,会社を興すとか,大学院に行くとか,選挙に立候補するとか,何でもいいのですが,どうすればいいかを人に尋ねたら,その道の人から支援を受けられるようにする方法をいろいろ教えてもらえるでしょう。映画ならエージェントや元手も必要です。大学院に行きたいなら試験を受けて,入学を許可されなくてはなりません。大多数の人は,こうした手順に従いますが,そうでない人もいます。脇道に入ることによって,ルールを迂回し,通常のハードルを飛び越え,目標に到達できる独創的な方法があることを覚えておいて下さい。ほとんどの人が,高速に乗るために幹線道路で延々と続く渋滞の列で待っているとき,目的地まで早く着ける抜け道を探そうとする冒険心の持ち主はいるものです。安全を確保し,秩序を守り,大多数の人々に都合のいいプロセスをつくるためです。ですが,ルールは疑ってみる価値はあります。いつも通る道が塞がっていたとしても,ルールを迂回して脇道を通れば目的地にたどり着けることだってあるのです。
ティナ・シーリング 高遠裕子(訳) (2010). 20歳のときに知っておきたかったこと:スタンフォード大学 集中講義 阪急コミュニケーションズ pp.63-64
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