情熱を傾けられるものがあり,能力もあるけれど,それを活かす市場がない,という場合があるかもしれません。たとえば絵がうまくて描くのが好きだとか,サーフィンのボードづくりが好きで波乗りが得意だとしても,こうした才能を活かす市場は小さいのが実情です。自分が夢中になれることを仕事にしようとすると,欲求不満に陥るのは目に見えています。仕事にするのではなく,すばらしい趣味だと考えた方が賢明でしょう。
逆に、能力があり,それを活かせる市場が大きいのであれば,その分野で仕事を探すべきだと言えます。たとえば,実績のある会計士なら,財務諸表を作成できる人間のポジションはつねにあります。世の中のほとんどの人は,こうして生活しています。自分のスキルを使える仕事があるけれど,早く家に帰って,自分が好きなこと——趣味に没頭したいと思っています。週末や休暇を指折り数えて待っています。あるいは引退の日を待っているかもしれません。
ティナ・シーリング 高遠裕子(訳) (2010). 20歳のときに知っておきたかったこと:スタンフォード大学 集中講義 阪急コミュニケーションズ pp.120-121
PR