ナンシー・ベリンジャーは,医学教育の「隠れたカリキュラム」がどのように働いているかについて述べている。隠れたカリキュラムとは,公式のプログラムと平行して必ず自然発生的に生じる,非公式の徒弟教育である。そこで学生や研修医は,多くは実例を通して,自分自身や同僚の失敗についてどのように考え,人に話すかということを教わる。たとえば,「失敗」に対してどのように記述すると,それがもはや「失敗」ではなくなるかを学ぶ。失敗は以下のようなものに姿を変える。
・「合併症」
・「指示を守らない」患者のせいで
・「明らかに回避不可能な事故」
・「稀に発生する,不可避かつ遺憾な出来事」
・「通常は害のない手順がもたらした,不運な合併症」
シドニー・デッカー 芳賀 繁(監訳) (2009). ヒューマンエラーは裁けるか—安全で公正な文化を築くには— 東京大学出版会 pp.91-92
(Dekker, S. (2008). Just Culture: Balancing Safety and Accountability. Farnham, UK: Ashgate Publishing.)
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