後知恵は次のようなバイアスを生む。
・因果関係を簡略化しすぎる(「これがあれにつながった」と)。なぜなら,私たちは結果と理由からさかのぼって,一見それらしい原因を推定することができるからである。
・結果の見込み(とそれを予見する能力)を過大評価する。なぜなら,私たちはすでに自分の手の中に結果をつかんでいるからである。
・規則や手続きに対する「違反」を過大評価する。マニュアルと実際の活動の間には,常にギャップがある(そしてこれはめったにトラブルにつながらない)のだが,私たちが悪い結果を見てから振り返って理由を考えると,そのギャップは重大な原因とみなされる。
・当事者に与えられた情報の,その時点での重要性,関連性を誤判断する。
・結果の前に行った行動と結果とをつり合わせる。もし結果が悪ければ,それをもたらした行動も悪いものだったに違いないと考える。すなわち,チャンスを逃した,見通しが悪かった,判断ミスや見真違いをした,などと。
シドニー・デッカー 芳賀 繁(監訳) (2009). ヒューマンエラーは裁けるか—安全で公正な文化を築くには— 東京大学出版会 pp.116
(Dekker, S. (2008). Just Culture: Balancing Safety and Accountability. Farnham, UK: Ashgate Publishing.)
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