しかし,だからといって,科学のすべてがそうした厳密な硬直した手続きで成り立っているわけではもちろんない。アイディア(仮説)を生み出す過程とアイディアを検証する仮定とは別ものであることに注意する必要がある。この区別は,科学哲学者が「発見のコンテキスト」と「正当化のコンテキスト」と呼び分けるものである。発見のコンテキストにおいては,日常生活と同様に,科学も「なんでもござれ」でよい。しかし,正当化のコンテキストにおいては,科学者はより慎重でなければならない。
T.ギロビッチ 守 一雄・守 秀子(訳) (1993). 人間この信じやすきもの—迷信・誤信はどうして生まれるか— 新曜社 pp.94
(Gilovich, T. (1991). How we know what isn’t so: The fallibility of human reason in everyday life. New York: Free Press.)
PR