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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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ウィリアムズ症候群

 ウィリアムズ症候群は,「反サイコパシー」とでも呼ぶべきもので,たぶんもっとも人に愛される病気であろう。患者はたいへん礼儀正しく社交的で,強い共感能力を示し,見知らぬ人を恐れない。顔には,経験を積んだ遺伝学者ならすぐに気づく特徴がある。すなわち,上を向いた鼻,大きな口,ふっくらした唇,そして鼻と上唇のあいだが離れていることである。こうした子供たちはしばしば心臓や血管,さらには歯や腎臓に異常が見つかる。
 この病気は,社会的行動をあつかう神経回路の異常に関係があると考えられ,21個ほどの遺伝子を含む小片が7番染色体に欠けていることが原因である。患者の扁桃体,つまり攻撃・闘争反応を引き起こすアーモンド大の神経組織が,人の顔が与える脅威に対して異常にのんびりした反応を示す一方,人の姿のない恐ろしい場面,たとえばビル火災や飛行機事故には過剰な反応を示す。つまり,ウィリアムズ症候群は社交的である一方,数えきれないほど多くの恐怖症をかかえ,クモや高い場所など,ありとあらゆるものにおびえているのだ。また,内側全頭皮質が絶え間なく活性化されている。この領域は額のすぐ裏側にあり,共感能力と,社会的にどう行動すべきかという知識にかかわっており,患者がこれらの点で高い能力を示すことに関係があるのだろう。

バーバラ・オークレイ 酒井武志(訳) (2009). 悪の遺伝子:ヒトはいつ天使から悪魔に変わるのか イースト・プレス pp.170-171
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