超能力とうそぶいてデモンストレーションをやってみせる彼らの所業は,ことごとく暴かれるべきであり,アメリカのジェイムズ・ランディ氏や日本のナポレオンズの「超能力者」との対決姿勢は,職業的デメリットも多いだろうに,その勇気と義憤に頭の下がる思いであって常習的に同業者の営業妨害を続けているマスクド・マジシャン(元々の芸名はヴァレンティノ。覆面で顔を隠さなければできない行為の為で,プロレスラーのマスクとは事情が違うようだ)の日本での荒稼ぎ等,暴かれるべき「超能力者」のイカサマは暴かず,立場が弱くテレビ局に抵抗の意思表示すらできない手品師達の食べていく手段を興味本位で奪ってしまう風潮は,政治家の犯罪は追わずに芸人の私生活の暴露に明け暮れるスキャンダル誌の精神とも似て,哀しすぎるではないか。それらの暴露マジシャン達が,自分達の得意ネタの種明かしを一切しないことが,すべてを表している。
松尾貴史 (2009). なぜ宇宙人は地球に来ない?—笑う超常現象入門— PHP研究所 pp.70-71
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