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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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ゲーム内と現実の価値の不均衡

 ネットゲームはドラマチックに出来ている。ところどころで,感動的なシーンに遭遇する。複数の参加者が連帯感をバーチャルに共有できる。
 「あなたがいないとだめだった!」「君に救ってもらえた!」「ありがとう!」
 現実には友だちのいない引きこもりの男の子でも,人助けができる。女性ゲーマーを救えば,王子さまのような扱いを受ける。実生活ではありえない憧れの対象になれるのだ。だからオフ会で人の目を見られない内気な人でも,ゲームに入れば水を得た魚になる。
 「ゲーム上だと,強くなればみんなモテる。強くなるにはどうすればいいのか。実は,より引きこもりになると,強くなれるんですね。1日中,敵を打っているとゲームに強くなる。でも寝ないで戦っていると,会社の仕事に支障が出る。私がいたIT企業でも社員の遅刻がひどかった。仕事をしているかと思えば,ゲームで遊んでいる。それでクビになった社員もいます。実生活では信用を失いモテなくなる。なんだよ,こっちの側(リアル)の女はみんな冷たくしやがって。でも,俺はそっちの側(ゲーム)ではモテモテなんだぜ!みたいな引きこもりサイクルが働く。モテるには引きこもるしかない。そうなるとゲームに居場所を求める悪循環に入っていくわけです」
 ゲーム内の自己(キャラクター)に依存すると,現実の価値はどんどん意味を失っていくのだ。

芦崎 治 (2009). ネトゲ廃人 リーダーズノート pp.25-26
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