それにしても『ファイナルファンタジーXI』で,痴話げんかが多いというのは,何が原因だったのだろうか。
初期の頃から,ネットゲームに詳しい人の話である。
「米国製のネットゲームは,ゲーム内で友だちが,今どのへんで何をしているかが,わからない。ところが日本のゲームは検索機能が付いていて,ゲーム内のどこにいても,誰と一緒にいるかが発見できる。『ファイナルファンタジーXI』では特に,どのエリアで,どのレベルで誰が何をしているか全部わかるようにできている。推測ですが,ゲームクリエーターは親切心で,友人がどこで遊んでいるかわかるような機能を作ったのでしょう。ところが,実際の使われ方は,そうじゃない。相手がどこで何をしているのかを監視するために使われていた」
ユーザーに,ネット恋愛中のカップルやリアルの恋人同士,現実の主婦,恋愛目的にゲームに参加するファンが多かったせいで,よくこんなチャットが飛び交っていたという。
「俺の彼女に,手を出すな」
「私が仲良くしているAさんと一緒にいるなんて許せない」
「おまえ,他の男と何している!早く帰って来い」
キャラクターはゲームの中で動き回っている。だが,キャラクターを操作しているのは,所詮,生身の人間同士だ。ネット恋愛だけでは飽き足らず,リアルで不倫に走るケースも稀ではなかった。
芦崎 治 (2009). ネトゲ廃人 リーダーズノート pp.142-143
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