Baumeister, Stillwell, & Heatherton(1994),Sommer & Baumeister(1997)によると,罪悪感には「対人関係を高める」機能がある。
それによると,①罪悪感を感じるのは,その人間関係が重要であり,お互いが相手を気にしているからである。
②罪悪感は,人間関係における公平性を回復させる機能がある。一般的に言って,罪悪感を感じる対象は,弱い立場にいる人である。罪悪感があると,その後,譲歩や再割り当てが行われ,結果として公平性が回復するのである。
③罪悪感は感情的苦痛を「再配分」する機能がある。たとえば,対人関係の中で誰かが被害を受けたとしよう。この場合,被害者は苦痛を感じ,加害者は利益を得る。こういうときに加害者に罪悪感が生じ,加害者も苦痛を感じるのである。そのことが被害者に伝わると,被害者の苦痛は軽くなる。その結果,被害者と加害者の苦痛度は等しくなり,公平性が保たれる。それによって,2人の関係がより強まることだろう。
J.P.タングネー & P.サロベイ (2001). 恥・罪悪感・嫉妬・妬み:問題をはらむ社会的感情 R.M. コワルスキ&M.R.リアリー(編著) 安藤清志・丹野義彦(監訳) 臨床社会心理学の進歩 実りあるインターフェースをめざして 北大路書房 191-221.
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