世間一般の意識では,そして初期の心理学理論のいくつかでも,外向性の中心は社交性と見なされている。外向性で高いスコアを取る人が低いスコアを取る人よりも社交に多くの時間を費やし,話し好きで,パーティが好きであり,関心の的になるのを好むというのは事実である。彼らはやすやすと新しい社会的関係を形成する。たとえば,大学に進んだ学生たちについての調査で,外向的な若者たちは内向的な若者たちよりも,友だちを作るのが早かった。
ただし,外向性と社交性を同一視することには,慎重であるべきだ。第1に,人が内気なのは,外向性が低いためというよりむしろ,不安と神経症傾向が高いことによる場合がきわめて多い。外向性のスコアが低い人は必ずしもシャイではない。たんに社交に価値をおかないだけで,社会的なつきあいがなくてもたいして気にしない。外向性の低い人々がしばしば人づきあいが悪いと見られるのはそのためである。もうひとつ気をつけるべきなのは,外向性の高さと,良好な社会的関係を混同してはならないことだ。外向性とは,人がどのくらいパーティに行くのが好きか,どのくらいの時間を社会的活動で過ごすか,新しい友だちを作る才能があるかを予測するだけで,その友人関係がどのくらい良好であるかを予測するものではない。大学生を対象にした調査で,他の学生たちとの協調性を予測できたのはビッグファイブのもうひとつの次元,調和性であって,けっして外向性ではなかった。実際のところ,外向的で同時に調和性の低い人物は,社会的にきわめて問題になることがある。彼らはパーティに行き,酒を飲んで酔っぱらい,果ては初めて会った人と大喧嘩するといった行為に非常な快感を覚えるのだ。外向的で調和性の低い人間は,ためらうことなく他の人々の前で完全に相手を無視できるし,それで自分が有利になると思えば,むしろ楽しんでその行為をするかもしれない。
ダニエル・ネトル 竹内和世(訳) (2009). パーソナリティを科学する 白揚社 pp.92-93
(Nettle, D. (2007). Personality: What makes you the way you are. Oxford: Oxford University Press.)
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