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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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誠実性の高低

 そうなると,誠実性がきわめて低い人というのは,たとえそれがどんなに有害でもやめることができない依存症パーソナリティを意味する。彼らの大部分は,依存症や反社会的障害に陥るほど極端とはならない。それでも誠実性のスコアの比較的低い人全員が,軽くはあるがこの種の衝動のコントロールで苦労している様子が見られる。私の通信員のうちで誠実性のスコアの低い人の書いてくるもののなかには,野心はあるけれども「怠け癖が邪魔をして……」とか,経済的な理由でキャリアアップする必要があるのだが「本音はやりたくない」とかいった文章が散見される。というのは,本来彼らには「集中力が欠如」しており,ぶらぶらしているほうが好きだからである。実は誠実性のスコアが低めの人が不利となる主な領域が,「仕事」なのだ。全般的に見て職業上の成功を予測するうえで最も信頼できる要因は,誠実性である(特定のタイプの仕事に必要なパーソナリティとは別)。おおむね他の条件が同じであれば,誠実性のスコアが高ければ高いほど,成功の可能性も大きくなるだろう。
 職業的成功と誠実性との相関はとくに強いわけではない。およそ0.2という相関値は,他に多くの要素が影響していることを示している。ただ印象的なのは,さまざまな調査結果が一貫してこれを示していることだ。数十にものぼる研究で,多かれ少なかれ同じように相関が現れている。職業的成功の基準が,仕事の熟達度評価だろうと,昇進のスピードだろうと,収入だろうと,あるいはまた訓練完遂度評定だろうと同じである。さらにまた,専門職,マネージャー,セールスマン,警官,そしてルーチンワーク的な仕事においても,相関は等しく見出される。したがって,これを特定のタイプの職種においてのみ帰するわけにはいかない。要するに,誠実性が高ければ高いほど,職場で成功する公算が高いということなのだ——成功の定義や職場の種類とは関係なしに。

ダニエル・ネトル 竹内和世(訳) (2009). パーソナリティを科学する 白揚社 pp.153-154
(Nettle, D. (2007). Personality: What makes you the way you are. Oxford: Oxford University Press.)
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