そうなると,調和性が高いとは,他者の心の状態に注意を払う傾向があるということであり,また決定的なのは,それを行動の選択要因のなかに含めるということである。これに関連して,最近ある独創的な実験が行われた。被験者の目の前のスクリーンにはさまざまな単語が提示される。このとき被験者が,「誘拐する」,「襲撃する」,「悩ませる」といった言葉とくらべて,「思いやりがある」,「慰める」,「助ける」などの言葉を処理するのにどのくらいの時間をかけたかは,彼らの調和性のスコアによって予測された。それらの言葉を好むということは,向社会的で暖かく,人を信じる行動につながる。調和性のスコアが高い人は,他者を助け,調和的な対人関係をもち,良好な社会的サポートをもつ。人と争ったり,侮辱することもめったにない。何があってもすぐに許し,実際に相手が悪くてもあまり怒ることはないのである。
ダニエル・ネトル 竹内和世(訳) (2009). パーソナリティを科学する 白揚社 pp.175-176
(Nettle, D. (2007). Personality: What makes you the way you are. Oxford: Oxford University Press.)
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