おおむね人が自分ときょうだいのパーソナリティを評価するとき,年上のきょうだいは自分より少々まじめだと見なし,年下のきょうだいは自分よりも反抗的で遊び好きだと見なすものだ。だが「まじめ」というのは「成熟した」という表現とやや似ており,「反抗的で遊び好き」というのはどちらかといえば「子供っぽい」に類似している。私たちが年上のきょうだいのパーソナリティについてふりかえるときはいつも,「自分より先に生まれた存在」として彼らを思い出している——一緒に過ごした子供時代,つねに自分より年上だった相手として。そしてまた,年下のきょうだいと言われて私たちが思い出すのは,一緒に暮らしていた間じゅうずっと,自分より若かった相手なのだ。したがって,評価者が年下のきょうだいを反抗的だと見たり,年上のきょうだいをまじめだと見なすのは,あたりまえすぎる結果なのである。その評価が意味あるものとなるには,相手のきょうだい本人による自己評定や,家族以外の第三者による評価によって,第一子の誠実性や,末っ子の開放性の大きさが確認されなくてはならない。だが,この種の無関係の評価者を使って評価をした場合,おおむね影響は見出されない。どうやら意味がありそうな影響は唯一,第一子の調和性がいささか低いということだが,これさえもきわめてわずかである。
このように,生まれ順がパーソナリティに及ぼす重要性については,真に説得力のある科学的裏づけはない。生まれ順効果を進化論的に論じようとする試みもいくつかはなされている。年下のきょうだいは年上のきょうだいと資源をめぐって競争するため,自分自身を差別化しなくてはならないというのである。生まれ順が家族内部での相互作用を予測するという意味では,この考えはいくぶんうなづけるものの,全体としてのパーソナリティの調整という点から見ると,何ら実際の意味をなさない。
ダニエル・ネトル 竹内和世(訳) (2009). パーソナリティを科学する 白揚社 pp.237-238
(Nettle, D. (2007). Personality: What makes you the way you are. Oxford: Oxford University Press.)
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