簡単に言えば,OCD[強迫性障害]は強迫観念と強迫行為という症状をもつ,一生続く障害である。かつては変わった珍しい病気だと考えられていたが,じっさいには40人にひとりがかかり,アメリカには500万人以上の患者がいると推定されている。青年期あるいは成人後の早期に発症するのがふつうで,喘息や糖尿病よりも発症率が高い。患者の人生がめちゃめちゃになるだけでなく,彼らを愛するひとたちもたいへんな被害を被る。洗ったり,掃除したり,数えたり,確認したりという反復行動にとりつかれると,仕事に差しさわるし,結婚生活もうまくいかず,ひととのつきあいもむずかしくなる。家族はいらいらしたり怒ったりして,「やめなさいったら!」と叫ぶ。あるいは波風をたてないように,ばかばかしい儀式を手伝ったり,勧めたりする(これはたいへんにまずい)。
ジェフリー・M・シュウォーツ 吉田利子(訳) (1998). 不安でたまらない人たちへ 草思社 pp.12
(Schwartz, J. M. (1996). Brain Lock. New York: Harper Collins.)
PR